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投資家の皆様へ

 
株主の皆様へ
2010年は、世界経済の見通しに関する不確実性、規制の将来像に関する問題、金融業界とゴールドマン・サックスに対する厳しい批判への対処など試練の多い一年であったにも関わらず、堅調な業績を達成することができました。このような厳しい状況においても良好な結果を残すことができたのは、(1)国際業務全般にわたるアドバイザリーと執行においてお客様が当社を選んでくださったからであり、(2)お客様の要望に応え、当社の企業文化であるチームワークと卓越性をさらに強化するべく献身的に取り組んでくれた社員の熱意によるものであると考えております。
2010年の当社の純収益は392億ドル、当期純利益は84億ドルとなりました。希薄化後普通株式1株当たり利益は13.18ドルで、平均普通株主資本利益率は13.1%となりました(英国銀行員給与税、米国証券取引委員会(SEC)への和解金、およびニューヨーク証券取引所(NYSE)指定マーケット・メーカーとしての当社の権利の減損による影響を除く)。普通株式1株当たりの純資産は2010年に10%増加して128.72ドルとなり、上場初年度の1999年末時点の20.94ドルから年率18%(複利ベース)の増加となっています。
ビジネス・スタンダード・コミッティー
昨年度の年次報告の時点では、2010年に、SECによる提訴、世間の注目を集めた議会公聴会への出席、過熱するメディア報道など、厳しい視線と批判の矛先が当社に向けられるような事態に直面することを予想した人はほとんどありませんでした。一方、ゴールドマン・サックスがこうした試練に直面しながらも、お客様のために引き続き業務を遂行し、このような結果を残すことを予想した人もほとんどいなかったはずです。信頼をお寄せくださった株主の皆様、ご支援を賜ったお客様、不撓不屈の精神とチームワークを示してくれた社員に、心より謝意を表したいと思います。
しかし、当社はいただいた批判に十分耳を傾けました。少なくとも、当社は批判を受けかねないような行動をしているという印象を与えてしまったのだと思います。そして徐々に、当社の企業としての自己認識と、当社が市場で果たす役割と活動に対する世間の見方との間に落差があることがますます明らかになりました。私たちはこれを、内省と徹底した自己評価の機会と受け止めて、どうすれば改善できるのか、またどのように改善すべきか検討しました。
そこで、ビジネス・スタンダード・コミッティー(BSC)を設置し、当社が何を、どのような方法で行っているのかを精査しました。このプロセスの一環として、独立したコンサルティング会社による匿名の詳細な対面調査を実施し、本調査を通じて得られた200以上のお客様からの貴重なご意見を参考にさせていただきました。
そして、顧客サービス、利益相反管理と事業選択、仕組み商品、透明性と情報開示、コミッティーのガバナンス、トレーニングと専門能力開発について、改革のための提言を行いました。
財務情報の開示面の改革には、株主の皆様から特に高い関心が寄せられています。まず、クライアント・フランチャイズとクライアント・ファシリテーション業務が当社の業績に与える重要性を明確で分かりやすくするために、報告セグメントを再編しました。第2に、貸借対照表の補足資料として、各事業への資産配分と余剰流動性ポジションを示す簡易的な資料を追加しています。3点目として、当社の全体的なリスク管理にかかわる体制、文化、プロセスをより詳細に説明しています。そして最後に、信用リスク、オペレーショナル・リスク、自己資本比率に関する追加情報の開示も行っています。
さらに、より一般的な面では、お客様のために当社が果たす役割や、経済成長と機会に寄与すべく当社が提供するサービスについてよりよく理解していただくために、幅広く関係者とのコミュニケーションを増やしてまいりました。
2010年を振り返り、ゴールドマン・サックスにとって最も重要かつ継続的に影響を及ぼすもので、当社が最も誇りに思うものは、ビジネス・スタンダード・コミッティー(BSC)における取り組み、そしてこの取り組みが意味するものでしょう。すなわちそれは、お客様に対して今まで以上のコミットメントを示すことはもちろん、当社が関与する活動全般について高いレピュテーションを維持し、業績及びリスク管理体制の透明性を高め、適切な言動及び正しい行為の重要性をさらに強調すべく説明責任を明確化したプロセスを強化し、そして何よりゴールドマン・サックスをより良い企業にすることに重ねてコミットすることです。
どの組織もその使命とプロセスを再活性化することが可能かつ必要な場面があり、その目的達成に向けて、当社の社員はすでにBSCの提言に従って行動をおこし、その精神を十分に理解しています。
BSCの取り組みと、最高水準のビジネス・スタンダード及びビジネス・プラクティスの定着を最優先させることは、将来を見据えた展開のための強固な基盤となります。それにより、お客様の要望にもっとも効果的に応えることができる機会を見極め、また、私たちの使命である資本配分を通じて、成長と革新のために資金を供給することに当社のスキルと経験を生かすことができるのです。
使命
2011年初頭の段階では、世界経済は好転しつつあるようで、回復が本格化し始めています。経済は引き続き、特に労働市場においてさまざまな課題に直面していますが、当社のビジネス分野全般にわたってお客様との取引が活発化しています。当社がアドバイザリーを提供している世界各地のCEOの多くは将来の成長に対する自信を強めつつあり、設備投資その他の投資意欲も高まってきています。
ゴールドマン・サックスはアドバイザーおよび資金提供者として重要な役割を果たしており、既存事業拡大や新規事業投資のための資金調達のお手伝いをしています。このような役割は、経済成長と安定化を促進する要となるプロセスの一つです。
さらに当社は、マーケット・メーカーおよびリスク管理者として、政府、企業、機関投資家がそれぞれの投資目標を達成するために金融商品を売買するお手伝いをしています。また資産運用者としては、企業、年金基金、ミューチュアル・ファンド、個人投資家などの金融資産を守り、増やすお手伝いもしています。
多くの意味で、当社の仕事は、数百万人もの人々の預貯金を増やすことを目的とする機関投資家のお客様の資本と、成長を促し、雇用を創出し、製品やサービスを提供するための資金調達を必要とする企業や政府のお客様のニーズとをマッチさせることです。どちらの側に対しても、お客様が本業に集中できるように、当社がお客様のリスクを引き受けて管理することが少なくありません。
経済には、成長と革新を促す重要な部分を担う、強力で健全な金融機関が必要です。ゴールドマン・サックスはいつでも、資金調達、投資、戦略の立案、より広く経済活動を刺激するためのサポートを提供させていただきたいと考えています。
トレンド、成長、機会
世界経済、金融市場、および金融サービス業界は、今なお金融危機による甚大な影響への対応を強いられています。しかし、揺らぐことのない構造上のトレンドを把握し、当社が業界トップクラスのリターンを引き続き創出できるようにするために、どのような対応をするべきかを考えることが重要です。当社の事業はその性質上、四半期ごとに収益を予測することは難しいのですが、長期的には、引き続き1株当たり純資産と利益の増加に努めつつ、業界最高水準の資本利益率を株主の皆様のために達成できるよう注力してまいります。
アドバイザー、資金提供者、マーケット・メーカー、資産運用者といった役割を通じて、当社が経済および金融の重要なトレンドを捉え、上手く対処していく能力を持つことは、成長の促進に寄与し、好業績を上げるという企業としての使命を遂行する上で極めて重要であると考えます。
継続的に見られるトレンドとしては、テクノロジーの進歩、マクロ経済・人口動向、BRICsをはじめとする成長国の台頭が挙げられます。また、金融業界に影響を及ぼすと考えられる規制について注視することも、必要かつ重要です。ただし現時点では、どの程度の影響かということを正確に申し上げることはできません。
このようなトレンドの中核には長期的に見れば有益なものもあり、当社の強みになるものと思われます。金融規制について言えば、各金融機関は質の高い資本の積み増しを義務づけられますが、その点における当社の備えは十分です。BRICsの台頭に関しては、急速な所得の増加と発展がグローバルの資本市場拡大の原動力になることが予想されます。また、変化に機敏に対応し、グローバル・フランチャイズの構築に長期的に投資するとともに、優秀な人材を確保するといった当社の強みは、やがて訪れる機会を捉えるための強固な基盤となるでしょう。
規制
ドッド・フランク法とバーゼルIIIに基づく新たな資本・流動性要件は、金融安定化の促進に向けた最近の取り組みの重要な成果です。法制化作業は始まったばかりなので、新しい規制による業界への最終的な影響についての詳細はまだ分かりませんが、新しい規制の大枠は、世界の金融システムの安全性と健全性の改善、デリバティブ市場の透明性向上、特定の投資活動の制限および大手金融機関の破綻の影響の緩和であることが明確になっています。
金融制度の安全性と健全性の見地から、バーゼルIIIガイドラインでは緊急事態への備えとして金融機関の資本および流動性要件の強化に重点が置かれています。資本・流動性水準の引き上げが世界的な趨勢である中、当社は保守的な財務プロファイルを維持しているため、新規制要件を満たす体制を十分に整えていると確信しています。この2年間、当社は収益と資本調達を財源にしてバーゼルIにおけるTier 1比率を大幅に高めてきました。当社の株主資本の90%以上は普通株式です。
さらに、当社は流動性が高いバランスシートを維持しており、2010年のグローバルな流動性プールは平均1,680億ドル、総資産のおよそ20%を占めています。最終的なバーゼル流動性カバレッジ比率はまだ確定していませんが、当社が最低基準を十分に超えることは間違いありません。当社は盤石の立場を生かして長期的な成長への投資を継続し、余剰資本を適切に株主の皆様に還元してまいります。
OTCデリバティブ取引に関連するシステミック・リスク低減策の一環として、中央清算機関の話題があちこちで取り上げられています。当社は以前から中央清算機関の利用を支持していますが、それは、カウンターパーティ・リスクが低下することでシステムの安全性が高まると考えているからです。デリバティブのエクスポージャーについて清算機関によるリスク管理と多面的なネッティングが行われることで、企業の連鎖フェイル・リスクが低下します。これは、特に規制当局の観点からすれば透明性の向上にもつながります。
しかし、中央清算機関の設置は非常に重要である一方、適正なリスク管理、ガバナンス、規制監督と併せて、それを適切に運用することも等しく重要です。中央清算機関を利用することでカウンターパーティ・リスクは低減できますが、除去することはできません。実際、清算機関に金融活動が集中するため、十分に管理できない場合にはシステミック・リスクの震源地となって、解決するはずだった問題を逆に悪化させることにもなりかねません。結局は、清算機関の土台となるのは清算会員各社の資本です。
業務の規制については、ボルカー・ルールによって自己勘定での取引活動や多くのファンド投資が制限される見通しとなっています。このようなビジネスは、従来から当社の業績の実質的な牽引役ではありません。この新ルールを受けて、すでにゴールドマン・サックス・プリンシパル・ストラテジーズ(ロング/ショートの自己勘定トレーディング・デスク)内に保有していたすべてのポジションを実質的に清算しています。また、グローバル・マクロ・プロプライエタリー・トレーディング・デスクが保有し、債券市場で取引していたポジションの清算も開始しています。
規制当局がボルカー・ルールの施行に踏み切った場合でも、お客様に代わって売買を行うマーケット・メーキング等の業務が実質的に影響を受けないことが重要です。もし、マーケット・メーキングを行うにあたり不可欠の活動が、自己勘定取引や許容されない取引と見なされた場合、金融仲介業者は自己資本を投入することができなくなり、少なくとも市場の流動性は減少し、取引コストの上昇が見込まれます。
マーチャント・バンキング業務に関しては、お客様のために投資する、というその主たる業務は今後も当社の総合戦略上、欠かせないものであります。当社は投資銀行として、アドバイザー、資金提供者、そしてエクイティ/メザニン/デット資金の供給者の役割を果たすことをお客様から求められており、ボルカー・ルール下においても、こうしたお客様の要望に対して、自己資金を投じることは減少するとしても、引き続き投資ファンドの資金をもってお応えしてまいります。
テクノロジー
もう1つの極めて重要なトレンドは技術革新です。これはグローバル資本市場の構造と効率性に継続的に影響を及ぼしてきました。端的に申し上げて、テクノロジーは、当社の提供する商品とお客様の体験の中核的な要素のひとつです。当社を差別化しているのは、カスタマイズしたシステム、商品、サービスをもってお客様のニーズに迅速かつ効果的に対応できる能力と言えるでしょう。
こうした点を考えると、この分野への投資の重要性は言うまでもありません。テクノロジー部門は社員8,000人以上を擁する当社最大の部門であり、その人員は2000年から倍以上に増加しています。
新たな規制が個々のビジネスや市場構造に与える影響については不透明な部分が多いものの、テクノロジーが中心的な役割を果たすことになるのは確かです。そのため当社は、今後も業界最高水準のシステム構築とともに、一部のビジネスについては運営モデルをハイ・タッチもしくはロー・タッチなものへと移行を進めることに重点を置いていきます。ゴールドマン・サックスが技術面で特に競争上優位であるのは、主要となるリスクシステムが1つしかない点です。これは、プラットフォームの統合や変更を必要とする場合が多い大規模買収を行ってこなかったことの副次的効果とも言えます。
OTCデリバティブ市場の規制は、透明性の向上と一層の自動化を推進することになります。一般的には、透明性が向上すると利益率が圧縮され、収益性が低下すると言われていますが、透明性が利益率の低下を招く可能性はあるものの、より多くのお客様の市場参加と商品のイノベーションを促すという形で新たな機会ももたらしてくれます。最終的にはいずれも取引高と収益の増加を促進するものです。
すべての市場がまったく同じように発展するわけではありませんが、現在のOTCデリバティブ市場は、これまでの株式市場と外国為替市場での経験になぞらえることができます。株式市場の一連の改革は1990年代後半に始まりました。ナスダック(NASDAQ)の注文取扱規則(オーダー・ハンドリング・ルール)の変更を皮切りに、2000年のデシマライゼーション(十進法への移行)、2005年には取引執行および価格発見の改善が図られました。
徐々に手数料とスプレッドは低下し、取引高は大幅に増加しました。当社は、オペレーションの一層の効率化と市場シェアの拡大を図るべく、テクノロジーへの投資を行うと同時に、株式部門の社員数も、最も多かったハイテクバブル期の約5,000人規模から現在約2,500人にまで減少しています。さらに、新商品の開発やお客様に合わせてカスタマイズしたヘッジ・ソリューションを提供する機会は、多くの場合、対象商品の取引コストの低下によってもたらされています。
外国為替業務でも同様の流れが見られました。現在、ディーラー間のスポット取引の98%が様々な執行場所で電子的に取引されています。また過去5年間に、G10通貨の取引高は倍増し、収益も約70%増加していますが、人員数はほぼ横ばいとなっています。その結果、税引前利益率は1.5倍以上上昇しています。
経済および人口トレンド
金融危機によって生じた大変動にもかかわらず、世界経済は拡大を続けています。当社の調査によると、グローバルGDPは今後10年間、主として成長国に牽引されて年率4%成長する見通しです。都市化の流れも継続し、2050年までに中国の都市部には4億人の人口が流入すると予想されています。また、中産階級が世界的に増加することによって、コモディティの需要も増加することが予想されます。当然のことながら、中東やロシアといったコモディティが豊富な国では、経済成長が著しく進んでいます。
日本などの先進国では、高齢化によって年金資産の水準が増加し続ける見通しです。さらに、先進国と新興国のソブリン・ウェルス・ファンドの資本プールは3兆ドルから今後10年間で10兆ドルに達することが見込まれます。このような資本プールの集中は、当社にとって新たなビジネスチャンスとなるでしょう。
成長国市場
BRICsをはじめとする成長国市場は、当社のグローバル・フランチャイズにとって最大のビジネスチャンスの1つと考えています。金融危機の最悪期直後の市場心理を振り返って、多くの評論家が、中国を含む成長国市場は厳しい経済状況に耐えうると投資家は過信していたのではないか、との疑問を投げかけ始めました。実際、一部の成長国市場から大規模な資金流出が見られました。
現在、BRICsをはじめとする成長国が世界経済の基盤となっていることは明らかです。激動と深刻を極めた金融危機ではありましたが、21世紀がBRICsをはじめとする成長国の時代になるという考えに変わりはありません。むしろ、それらの国々が金融危機をうまく切り抜けたことによって、BRICsに対する当社の見解の正しさが実証されています。
過去数年にわたる当社の収益源は、南北アメリカがおよそ50%、欧州が30%、アジアが20%となっています。この収益構成が示しているように、当社は米国の同業者の中でも屈指の多様性を誇っています。これを、米国や欧州大陸といった「先進国市場」と中国やブラジルなどの「成長国市場」とに区別して見てみると、成長国からの収益の寄与度は近年高まってはきていますが、2006年以降当社の収益全体の12%にとどまっており、さらなる成長の余地を残しています。
多くの成長国市場のGDPの伸びと財政の相対的安定化は、当社のビジネス全体にとって収益機会を促進するものです。中国やインドでは、所得の伸びと急速な都市化が相当のインフラ需要を生むことが予想されます。この予想投資額は今後10年間で4兆ドルを突破し、その資金のほとんどは国内で調達することが可能です。成長国の企業はまた、グローバル・プレーヤーとしても影響力を高めつつあります。例えば中国では、クロスボーダー取引が2005年から5倍以上も増加しています。
また、成長資金の調達策を求めるお客様が増え、過去10年間で成長国における債券・株式の引受高が激増しています。過去5年間のインドにおける資金調達件数は、それ以前の10年間の約3倍に上っています。
中国でも成長資金の必要性から、株式市場が著しく活発化しました。中国企業の時価総額は、2002年から2010年までの間に年率33%(複利ベース)の伸びを示しています。また、その世界シェアは今後20年間で2倍以上の28%となることが予想されます。時価総額が10億ドル以上の企業の数は、アジア全体と欧米全体とでほぼ同数となっています。
安定的かつ成長を続ける資本市場は、マーケット・メーキングのビジネスにとっても収益機会をもたらします。中南米では、当社と取引を行うお客様の数が過去10年間に約25倍も増加しています。
最後になりますが、成長国市場には巨額なかつ増加を続ける資本プールがあります。日本を除くアジアの大手金融機関200社の合計で、14兆ドルの資産を運用していますが、そのうちゴールドマン・サックスのお客様はわずか15%に過ぎません。成長国市場は、当社のプライベート・ウェルス・マネジメントにとっても重要なビジネスチャンスです。中南米に限っても、3,000万ドル超の投資可能な資産を保有する世帯が1万以上あります。
先進国市場と同様に、成長国における当社の成功は、優秀な人材の採用と維持に大きく左右されます。成長国の社員数は2003年以来、年平均で32%増加しているのに対し、全社での社員数の増加率はわずか7%にすぎません。全社員の約20%のおよそ7,000人が成長国に居住しています。
2010年には成長国市場の大学120校から人材を採用しました。2010年の新入社員のうち、成長国市場の出身者は、5年前の8%に比べ15%を占めるまでになっています。ゴールドマン・サックスが、成長国や世界各地で働きたい会社の一つに継続して選ばれていることは大変光栄なことで、2010年は世界中で採用の通知を受けた大学生・大学院生およびサマーインターンの約90%が採用を承諾しています。
コーポレート・エンゲージメント
最後に、2010年を通じた当社の戦略的なパブリック・エンゲージメントの取り組みが大きく進展したことをご報告いたします。当社の取り組みは、企業による社会貢献活動としては最も規模の大きいものの1つと言えますが、重要なのは規模よりもむしろインパクトです。私たちは、これらの活動が長年にわたって有意義な結果をもたらしてくれると信じています。そして、何千もの人々が自身の能力を存分に発揮したり、将来の安定を確保する機会を多く得られるようになると確信しています。これらの活動には、当社の社員も積極的に参加しており、当社のスキルやビジネス、そしてさまざまな関係者を取りまとめ、新たなパートナーシップを創り出す能力を活かす取り組みは、コーポレート・エンゲージメントの効果的なモデルともなっています。この創造的かつ有意義な取り組みは、人生のあらゆる面で少しでも社会に貢献しようと力を尽くす優秀な人材の採用と確保にも役立っています。
10,000 Women1万人の女性)
発足から3年目を迎えようとしている「10,000 Women」プログラムは順調に進んでおり、世界中の教育機会に恵まれない何千人もの女性にビジネス・経営教育を提供しています。70以上の世界有数のパートナー機関のグローバル・ネットワークを活用して、中国、インド、アフガニスタン、南北アメリカ、アフリカ、中東に至る22カ国で活動を展開しており、これまでに3,000人以上の女性が本プログラムに参加しています。嬉しいことに、「10,000 Women」はプログラム実施国において実質的な効果を見せており、卒業後6カ月後には同プログラム卒業生の約71%の収入が増加し、50%以上が新しい仕事に従事しています。
10,000 Small Businesses1万社の中小企業)
10,000 Small Businesses」は、米国の経済成長と雇用創出の促進を目的とした5年間にわたって実施する5億ドルのプログラムで、ニューヨーク、ロサンゼルス、ロングビーチ、ニューオーリンズ、ヒューストンの提携機関の協力を得て、すでに約200社の中小企業が支援を受けています。同プログラムの一期生は、ニューヨーク市クィーンズ区のラガーディア・コミュニティー・カレッジ、ロサンゼルス・シティカレッジ、ロングビーチ・コミュニティー・カレッジ・ディストリクトを卒業しました。より多くの中小企業が成長に必要な資本を得られるように、当社は地域開発金融機関(CDFI)と提携して中小企業への融資を行っています。現在はNational Development CouncilSeedco Financial Services, Inc.Valley Economic Development Center, Inc.Hope Enterprise Corporationと協力しており、資金支援を促進するためにさらなるCDFIの参加を期待しています。
さらに、当社の社員にもプログラムに参加してもらうことを第一義として、150人以上の社員が中小企業の事業主と直接接しながら、業務計画を検討し、財務分析や戦略的アドバイスを提供しています。また、英国のリーズとマンチェスターでも同プログラムを開始しています。この取り組みは、経済成長を促進するためのビジネス教育、メンタリング、ネットワーキングの機会を提供し、中小企業と社会事業とを結びつける初の試みでもあります。
ゴールドマン・サックス・ギブズ
寄付者の意向を反映する基金として2007年に設立した「ゴールドマン・サックス・ギブズ」には、報酬原資を減額して、2009年に5億ドル、2010年には32,000万ドルの資金を拠出しました。ゴールドマン・サックス・ギブズは、教育機会の拡大、コミュニティーの形成と安定化、兵役および退役軍人の尊重、雇用創出と経済成長という4つの戦略的分野ですでに成果を生んでいます。2010年には、21,000万ドル以上が上記4分野の非営利団体に配分されました。そのうち4,000万ドル以上は必要性に基づいて行われる学資援助、奨学金、その他の教育プログラムに充当されています。2010年に行われた寄付の例としては、「ゆりかごから大学まで」の包括的アプローチに重点を置き、世代的貧困の悪循環を断つための画期的な成功モデルとなっているHarlem Children’s Zoneへの2,000万ドルの寄付をはじめ、職業紹介、対応力、家族支援、カウンセリングを通して、傷病退役軍人の市民生活への復帰を支援する非営利ネットワークに2,000万ドルを寄付しています。
まとめ
これまでと同様、株主の皆様にご提供するリターンは、(1) 世界の経済成長の速度と持続性、(2) 資本市場におけるお客様の活動状況、(3) 幅広い取引機会とその機会を生かす能力、(4) 優秀かつ革新的で、チームで働く社員によって培われた企業文化の強み、によって決まります。ゴールドマン・サックスは今後も、経済、市場、お客様のニーズの変化に適応し、またそれと共に成長するうえで、好位置にあると確信しています。
この業界の過去30年間を振り返ってみますと、変化を「発展(evolution)」としてではなく「変革(revolution)」として恐れ、変化に抵抗してきたことがしばしばありました。世界は発展するものであり、金融サービス業界も、経済要因、規制、テクノロジーが重なって変化を余儀なくされ、より効率的な市場、より競争力のある企業、より回復力のある経済が生まれます。変化に伴う不確実性から、中には抵抗する向きもあるでしょう。しかし、早期に変化を受け入れてきたことが、これまでゴールドマン・サックスの成功を支えてきました。
過去10年ほどの間、ゴールドマン・サックスはさまざまな変化に対応してまいりました。当社は、単なるアドバイザーからアドバイザリー、資金調達、共同投資を手がける大規模な総合金融プロバイダーへと成長し、国内企業から国際企業へ、小規模の非公開企業からフォーチュン50社にも選ばれる上場企業へと変貌を遂げました。
当社の企業文化と成功の大きな部分を占めるのは機敏さです。お客様との密接な関係を維持し、お客様の絶えず変化するニーズに耳を傾けることで、変化を進んで受け入れ、それに適応しようとする気持ちが強くなります。当然のことながら、未来を予測することは不可能です。だからこそ、顧客フランチャイズに対する揺るぎないコミットメント、社員の努力、熱意、協力こそが、今後も当社の長期的成功の要石であり続けます。
 
ロイド・C・ブランクファイン
会長兼CEO
 
ゲーリー・D・コーン
社長兼COO

 

*本文は英語の原文を翻訳したものです。本文と原文に相違がある場合には、英語の原文が優先します。