緊急事態宣言で日本の成長率は1955年以来の落ち込みへ

09 04 2020

2020年4月7日に、7都府県を対象に緊急事態宣言が出され、大規模の経済対策も同時に発表されました。日本経済へのインパクトについて、日本のチーフ・エコノミスト馬場直彦が解説します。

緊急事態宣言やそれに伴う外出自粛などは日本経済にどのようなインパクトを与えるのか。

馬場:今回の緊急事態宣言を受けて、2020年4-6月期実質GDP成長率(前期比年率)を従来のマイナス7.2%からマイナス25.0%へと大幅に下方修正しました。これはGDPデータを遡れる1955年以降で最大の落ち込みに相当します。 ただし各都府県が要請した外出自粛などの措置には法的拘束力がなく、欧米で実施されているような、より厳しい「ロックダウン」とは性質が異なることから、米国のマイナス34%、ユーロ圏のマイナス38%と比べて日本の落ち込みは比較的浅いと見ています。とは言え、緊急事態宣言で人々の意識が変わり、東京都を中心とした従来の「不要不急の外出自粛要請」などに比べ、ステップアップした自主的な営業休止・外出自粛等の行動変化が予想されるので、日本経済は大きな打撃を避けられないでしょう。

様々な経済対策も発表されているが、効果は限定的ということか。

馬場:確かに政府が発表した経済対策は、総事業費が108兆円、そのうち財政措置が40兆円と、ヘッドライン上は、2009年4月のリーマンショック後の経済対策を大きく上回り過去最大となっていますが、当社では、GDPに直接計上されるいわゆる「真水」の部分は、個人・中小企業への現金給付金など計14兆円程度と考えています。

最も影響を受ける分野は?

馬場:消費は4-6月期にマイナス25.0%(前期比年率)と急落を予想しています。サービス消費はもちろんのこと、家電などの耐久財や衣類をはじめとした半耐久財などの「不要不急」の購入も先送りされるでしょう。また、企業にとっては運転資金繰りと雇用維持が喫緊の問題となり、先行きが見えない中では設備投資も当面先送りになることから、前期比でマイナス40%の落ち込みを予想しています。 最後に輸出ですが、すでに海外の需要減退を織り込み、前期比年率マイナス45%の急落を従来見込んでいましたが、緊急事態宣言による事業所休業など、国内の生産体制への影響を考慮し、4-6月期はマイナス60%へとさらに下方修正しました。また、国内需要が減少することから、輸入もマイナス40%と大幅な減少を予想しています

経済回復の見通しは?

馬場:新型コロナウイルス感染拡大の進展については特定の見解を持っていませんが、予測を立てるため7-9月期に終息に向かうことを前提にとすると、それ以降は経済対策効果も手伝い、海外経済の回復に伴って、日本経済もプラスに転ずると想定しています。しかし年前半の大きな落ち込みを取り戻すには至らず、2020年の成長率は暦年・年度ともにマイナス6.0%を予想しています。2021年は内外経済活動が徐々に正常化すると見ており、夏にはオリンピック・パラリンピックも開催される予定であることから、GDP成長率は暦年でプラス3.1%、年度でプラス4.5%を見込んでいます。

 

グローバル投資調査部

日本経済フラッシュ: 緊急事態宣言で、2020年4-6月期の 実質GDP成長率は1955年以降で最大の落ち込みへ

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