Are you a Student or Professional?

女性シニアリーダーインタビュー

 

小林悦子

ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社
代表取締役社長
 

 

生い立ちと子供時代の思い出

私は東京のかなり保守的な家に生まれ育ちました。子供のころからの趣味は料理、特にお菓子作りが大好きでした。生地を作りオーブンで焼き、それが形を変えていくのを見るのが好きで、学校から帰ると毎日のようにクッキーやスポンジケーキ、シュークリームなどを焼いていました。最初は喜んで食べてくれていた家族も途中から飽きてしまったようで、それからは学校で友達によく食べてもらっていました。

学生時代、目指していた仕事

中学3年までは料理研究家になりたいと思っていましたが、当時の担任の先生から「女性は大人になったら毎日料理を作らなくてはいけなくなるから、別の仕事を考えてみたら?」と勧められたこともあり、高校3年までは化学者を目指していましたが、物理はどうしても苦手科目でした。そんなある日、既に理系の大学に入っていた兄から「物理が苦手な奴が理系に行っても役に立たない」と言われ、加えて「理系に行ったら婚期が遅れる」という両親からのプレッシャーもあり、文転を余儀なくされました。因みに文系に行っても結婚は遅かったです。

ゴールドマン・サックスに入るきっかけ

私は中途入社です。大学卒業後は米系の銀行に入社しました。その銀行の留学制度を活用してアメリカでMBAを取ろうと思ったからです。しかしその後、銀行の経営不振のため留学制度がなくなってしまったのですが、引き続きその会社でデリバティブ商品のマーケターの仕事をしていました。その当時からゴールドマン・サックス証券には優秀な人が多く、提案力の高さは業界内でも評判でした。会社の先輩も何人かがゴールドマン・サックスに転職しており、私にも何度か声をかけてくれたのですがなかなか踏ん切りがつかず、転職を決意するするまでに6年もかかってしまいました。

キャリアの転換点

私は出産が大きな転機になりました。そのころは債券部で企業や金融機関の起債の手伝いする仕事を担当していて、案件執行中のときは会社に深夜まで残らなければならず、育児との両立は難しいかなと感じていました。子育てをしながら何か資格を取って、次の人生を考えようと思っていた矢先に、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント(GSAM)にいた債券部の先輩から、GSAMでの金融機関向けビジネスの立ち上げに力を貸してくれないかと声をかけられました。当時のGSAMは、既にリテールと年金ビジネスはある程度の規模になっていましたが、金融機関向けビジネスはまだこれからという状況でした。より柔軟に時間を使えるし、新しいことを学びながら働くことができるのではないかと考え、退職ではなくGSAMへの転籍を決めました。

つらい経験をどのように乗り越えたか

2008年9月の金融危機では、大きな損失を抱えてしまったお客様から既存ビジネスの解約を迫られ、それまで築き上げてきた多くのビジネスの見直しを強いられました。その後1、2年はお客様の多くがリスクオフになり、仕事がほとんどなくなってしまいました。しかし思い返すと、そうした危機は過去に何回も繰り返されてきました。たとえば、エンロン・ワールドコムの粉飾決算から始まった市場の動揺でも一部の投資家に迷惑をかける結果になったことがありました。その他小さいもの含め、幾度の危機を経験して大事だと感じているのは、顧客との信頼関係です。たとえ嫌がられても、真摯に向き合いきちんとコミュニケーションを続けていくことです。その結果、お客様がリスクオフからリスクオンになるタイミングで電話をもらうことができ、再び仕事をいただけるようになりました。ゼロからスタートさせた金融法人向け業務は現在、運用資産が5兆円近くにまでに成長しています。

ゴールドマン・サックスで働き続ける理由

私は顧客から信頼される会社で一流の仕事がしたいと思い、ゴールドマン・サックスに転職してきました。一流の仕事とは、一流のお客様から大きな仕事をいただき、最終的にお客様に満足いただくということにほかなりません。ゴールドマン・サックスには様々な知見、分析力、調査能力が備わっており、お客様も我々がそうした情報を提供することを期待しています。加えて、会社の歴史も長く世界に確固たる地位を築いており、多くのゴールドマン・サックス出身者が様々な場所で活躍しています。こうしたすばらしいプラットフォームをベースに、全世界にいる同僚と共にお客様がベストと思う提案を作り上げることができるという環境は他社にはないと思います。決して楽な職場ではありませんが、お客様のために最高の結果を出したいと思う人にとっては、本当に満足感を得られる充実したキャリアを築いていける場所だと思っています。

趣味や、会社以外で打ち込んでいること

ゴルフと引き続き料理です。ゴルフは、最近学生時代の友人や仕事関係の人達から誘われることが多くなり、より良いスコアを目指し、週末はコースに出ていることが多いです。料理は、時間をかけないでおいしいものを作るのが特に好きです。おいしい料理を作るとやはり家族が喜んでくれますし、会話も弾みます。

若手社員へのアドバイス

年齢を重ねると自分のために使える時間がどんどん少なくなります。その時に備え、自分に100%時間を使える若いうちにしっかり勉強をして、「ため」を作っておくことが重要であると若い人にはアドバイスしています。実は、これは私が25歳位の時に尊敬する先輩に言われたことなのですが、私自身は若い時にもう少し勉強しておけばよかったと後悔しています。「週末は本屋に行って、面白そうな本は絶対に買え。はじめは“積んどく”で良いから」と上司に言われたことも長らく続けました。もちろん座学だけではなくOJTでの体験もそれ以上に重要だと思います。

 

出身地

東京都

家族構成

夫と娘二人

趣味

料理、ゴルフ

好きな本

「天才たちの誤算 ドキュメントLTCM破綻」
「リーマン・ショック・コンフィデンシャル」
「賢者の投資 金融危機の歴史に学ぶ」 

詳細は「夏休みの読書2016」をご覧ください

好きな映画・番組

プロフェッショナル 仕事の流儀 

好きな曲・歌手・音楽

Official髭男dism、藤井 風 

思い出に残った旅行先

社会人3年目にご褒美旅行で行かせてもらったLAからSF、Route1を車で走った時の景色

座右の銘

一期一会