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グローバル展望

中国代購ビジネス

中国には、韓国や日本をはじめとするアジア各地に出向いて需要の高い商品を買い付け、中国国内で転売する再販業者、いわゆる「代理購買業者」(以下、代購業者)のネットワークがあります。代購業者は長年にわたり一部の高級ブランドや代購業者との取引を得意とする小売業者の成長を促してきましたが、ここにきて複数の逆風に直面しています。アジア太平洋地域の消費財・小売り担当アナリストのクリスティン・チョと日本消費財担当アナリストの山口慶子が解説します。

代購業者とはどのようなもので、どこで最も活発に活動しているのか?  

チョ代購は「代理購買」という意味で、これら業者は海外で商品を買い付け、これを中国に持ち帰って国内消費者向けに転売するビジネスを展開しています。中国ではグローバルブランドの需給バランスが大きく崩れており、代購業者は長年にわたり中国の消費者に商品へのアクセスと値ごろ感を提供してきました。これらの業者は価格差を利用した高い利ざやを得ることを目的に、互いに連携して活動する場合も多いようです。

山口代購が最も広く行われているのは、大量購入することでかなりの割引を受けられる韓国の免税店。また、あまり大きな利ざやは得られないものの、日本の百貨店やドラッグストアなどでも海外で販売されていない日本独自の商品やブランドを買い付けている代購業者がみられます。中国の消費者が代購業者から商品を購入する動機は必ずしも価格だけでなく、「本物の商品を買いたい」「代購業者が推奨する商品なら買いたい」「中国では手に入らない新商品を買いたい」などのニーズも相応に多いようです。また代購業者のアフターサービスも手厚く、実際には代購業者からの購入価格が中国市場の価格より逆に高くなるケースもあるほどです。

最も人気の高い代購商品は?

チョ化粧品が群を抜いて人気のカテゴリーで、韓国免税店では売上高の半分以上を占めます。中国本土との大きな価格差や商品を国内に比較的持ち込みやすいことが主な理由です。当社推計では、グローバル高級品セクターのうち、代購業者が世界売上高に占める割合は約5%程度にとどまっています。

代購の将来像はどのようなものになるとみられるか?

チョ慎重に見ています。対象商品が中国国内で手に入りやすくなってきており、海外から商品を買い付ける業者への需要が減退しています。また、規制面での支援を受けた免税店が中国国内でも立ち並び始めており、競争力のある価格で商品を販売しているうえ、中国の百貨店でも海外商品を販売する店舗が増えています。規制の観点では、輸入関税と消費税の引き下げによって商品の内外価格差が縮小しています。代購業者が活動する動機であり利益源であるこの価格差は極めて重要で、当社推計によると、価格差は数年前の30-50%から現在ではわずか20-30%に縮小しています。

オンラインショッピングへの移行による影響はあるか?

チョ:影響はあります。中国では、代購から越境eコマース(EC)へと消費者を促すことを目的とした新EC法が施行されました。2019年1月1日以降、代購業者は中小企業(SME)として正式に登録しなければならず、税制面で大きな打撃を受けます。オンラインでの再販の承認を得るには、どこで商品を仕入れているかを当局に申告し、該当する関税を輸入時に支払わなければならないため、マージンが圧迫されます。厳しく施行されれば、この法改正はこれまでほぼ野放し状態だった業界に破壊的な影響を及ぼす可能性があります。

この法改正によって誰が一番影響を受けるか?

チョ:最も影響を受けるグループは3つあると見ています。第1に代購業者そのもの。金銭的なインセンティブが一旦小さくなれば、代購の必要性もすぐに低下します。小規模な代購業者は市場から締め出されるか、もしくは商品の仕入れに代購ブローカーを頼るようになるかもしれません。大規模な代購業者は商品の仕入先を証明しなければならず、マージンの低下は避けられません。第2に、代購への売上依存度が高い小売業者が影響を受けるでしょう。特に代購業者から売上高の半分近くを得ている韓国の免税店に大きな打撃となりそうです。

山口:このチャネルを通して売上を伸ばしていたグローバルブランドにも影響が及ぶのは間違いありませんが、別のチャネルに販売の軸を移すことができるため、短期的な影響にとどまるでしょう。日本の化粧品メーカーはすでに消費者を代購利用へと駆り立てていた問題に対応し始めています。例えば中国本土での販売網の拡大、機内販売や空港免税店など旅行者を対象とした「トラベルリテール」の拡充、越境ECをはじめとする非インバウンドチャネルの強化など、短期的にコスト増となっても、長期的には免税店と同等のマージンを達成しつつ、より主導権を持ってブランドメッセージや価格、在庫を管理できるようになるでしょう。