Search

投資家向け情報
株主の皆様へ

Text Size

株主の皆様へ

 

2017年の世界経済は、先進国と新興国の両方で成長が続いたことを背景に、拡大基調で推移しました。米国では労働市場が着実に改善する中で、景気拡大局面が9年目に突入しました。ユーロ圏ではインフレ率が伸び悩んだものの、堅調な経済成長が続きました。アジアでは、日本経済が好調な輸出を追い風に底堅く成長し、中国も世界的な景気回復と政策変更の効果が出始めたことを背景に力強く成長しました。

ゴールドマン・サックスにとっては、資産価格の全般的な上昇とクレジット・スプレッドの縮小がアドバイザリーや引受業務のみならず、投資および貸付業務にも追い風となりました。一方、ボラティリティが低位に推移したことは、マーケットメーキング業務の逆風となりました。

2017年は収益構造の多角化が功を奏し、4つのセグメントのうち3つが増収となり、当社全体の純収益を前年比5%増の321億ドルに押し上げました。2017年中に成立した減税及び雇用法(米税制改革法)により、概算44億ドルの一時的な税負担が発生しましたが、この費用を除くと、普通株主に帰属する当期純利益は14%増の81億ドル、希薄化後普通株式1株当たり利益は21%増の19.76ドル、平均普通株主資本利益率(ROE)は10.8%となりました[1]

昨年のROEは9.4%でしたが、過去6年のうち5回、2桁のROEを達成しています[2]。当社は常に2桁のリターンを生み出すことをお約束しているわけではありませんが、コスト管理などの対策に集中的に取り組むことを含め、株主リターンの向上に努めています。

転換点

2017年は当社や金融業界にとっての転換点となりました。第1に、世界経済は低成長の環境から脱却し、労働市場の逼迫を伴う成長拡大局面に移行しつつあります。第2に、中央銀行が超金融緩和政策(市場のボラティリティが抑制されてきた原因)を終了させ、より「正常」な政策に移行しようとしています。そして第3に、規制が何重にも強化される時期が終わり、規制の合理化や費用対効果を見極める動きが進むかもしれません。

このような環境のもと、当社が目指すのは利益成長です。特に、フランチャイズへの継続的な投資、顧客層と商品ラインの拡充、そしてこれまで取り組んでこなかった新たな分野の開拓による利益拡大に力を注いでいます。お客様のニーズに対応するものであるか、リスク管理やアドバイザリーなどの当社の強みを十分に発揮できるものであるか、また株主への長期的なリターン創出が可能か、などの枠組みに沿って、様々なビジネスチャンスを見極めています。

こうした背景から、2017年9月、当社は今後3年間で純収益50億ドル増を目標とした成長プランを策定しました。この計画には各ビジネスでの目標が設定されていますが、この目標の達成がすべてだとは考えていません。さらにこの計画は事業環境の改善を前提としたものではありません。とはいえ、経済のトレンドや市場環境、顧客のセンチメントは好調のようです。

今年の株主の皆様へのご挨拶では、当社の主要事業における戦略的成長イニシアティブの進捗状況についてご説明いたします。このイニシアティブを支えているのはテクノロジーへの大規模な投資であり、顧客フランチャイズ拡大には欠かせないものです。これまで行ってきたテクノロジーへの投資は競争力を生み出しており、お客様へのサービスの向上や事業効率・規模の改善においてもテクノロジーが中核的な役割を果たしています。今後1年の展望については本文の最後に述べさせていただきます。

成長へのフォーカス

投資銀行業務

投資銀行業務は世界屈指の顧客基盤を誇っています。2017年には、1999年の上場以来2番目に高い純収益を投資銀行部門は計上しました。このような好業績を支えたのは、何十年にもわたって築き上げてきたお客様との信頼関係であり、その数は8,000社を超えています。ゴールドマン・サックスは、2017年のグローバルM&A(公表・完了ベース)ランキングで首位、世界の株式、株式関連および普通株式の引受ランキングでも首位となりました。

成長をさらに加速するため、関係強化の余地が大きい上場企業と非上場企業の両方を対象に、顧客企業を約1,000社増やそうとしています。そのうち、すでに30%強は達成されており、今後12~18カ月の間に100%に達する見込みです。

50億ドル超のM&Aの案件では、2017年の当社のシェア(公表ベース)は約50%に達していますが、50億ドル未満の案件では10%強にとどまっています。この規模の取引ではアドバイザーの数が少なく、大規模なファイナンスを伴う傾向にあるため、ビジネスチャンスがあると考えています。

当社は北米で事業拡大を進めており、アトランタ、ダラス、シアトル、トロントといった主要都市でシニア・カバレッジ・バンカーを増員しています。これを機に、企業活動の重要拠点となりつつある都市で、お客様との関係構築を進めていきたいと考えています。すでにその努力の成果は表れており、多岐にわたる業種から、75件以上の新規マンデートを獲得することができました。

他にも当社が投資銀行部門の成長を確信している理由は、債券引受業務で成功を収めてきたことが挙げられます。債券引受業務は5年前から戦略上重要な分野として位置付けており、2017年には30億ドル近い純収益を生み出しました。これは2009年から2011年までの平均の倍以上です。

最後に中国についてですが、中国市場は引き続き世界経済の大きな部分を占めており、現在、フォーチュン・グローバル500に占める中国企業の割合は20%を超えています。当社は、中国で活動するグローバルな金融機関の中で、2017年の株式および株式関連引受ランキングで首位となりました。中国におけるプレゼンスを強化することで、同国の経済成長に伴う収益機会をうまくとらえることができると確信しています。

機関投資家向けクライアント・サービス

機関投資家向けクライアント・サービスには当社の中でも最もダイナミックなビジネスが含まれており、事業環境に合わせて経営資源を配分しています。このことは特に債券・為替・コモディティ業務(FICC)について言えます。

債券・為替・コモディティ業務(FICC) 業界全体の収益が2009年のピーク時から約50%減少する中で、当社はFICCへの経営資源の配分を大幅に縮小しました。これは収益機会の減少に対応したものですが、その背景には、長期的な変化に加え周期的な変動も影響しています。

しかし現在、世界経済は一段と堅調さを増しているようであり、FICC業務における今後の成長余地を放棄することは戦略的に賢明ではないと考えています。実際、直近では魅力的な収益機会が増加していることから、同業務に対して経営資源を再投入しています。

2017年のFICCの取引状況と業績は、経営資源の配分と比較して不十分な水準にとどまりました。これを受けて、改善策を探るべくFICC業務に関する詳細かつ包括的な検証を実施しました。

当社は主に、取引を活発に行う投資家や、ストラクチャード取引およびデリバティブ取引に対して強みを発揮してきました。その結果、現物への投資が不十分となり、一部の大手資産運用会社や銀行との関係が希薄になりました。

この課題に対応するため、銀行や資産運用会社に対するカバレッジを拡大し、事業会社との取引の深耕に努めています。また現物やフロー取引の能力を強化することで、商品群の多様化を図ってきました。さらに、お客様の取引金融機関のシェアで上位3社以内に入るよう、責任をもって業務に当たらせています。

各業務における市場シェア拡大の取り組みには、早くも成功の兆しが現れています。我々の取り組みはいずれすべてのFICCのお客様に実感していただけるものと確信しています。

当社の成長を支える大きな強みは、独自のテクノロジーを活用し、お客様に最良の執行、情報および分析サービスを提供できる点にあります。例えば、株式、債券、為替、コモディティの各分野における電子取引の自動プライシングとリスク管理機能を1つのユニットに統合したことで、当社とお客様の双方にとって効率性が高まりました。

我々は、顧客ニーズがあり、市場シェアの拡大が最も期待できる分野に投資を行いつつ、お客様の取引活動に見合うよう、必要に応じて資本と費用を抑制して、戦略を実行してまいります。

株式業務 株式業務においては、取引執行とファイナンスの両面で優れたフランチャイズを構築すべく、人材、プラットフォーム、商品に対して長年にわたって投資を行っています。

ここ数年、電子取引執行サービスを強化するために、最高データ責任者を新しく採用したほか、電子取引執行サービスのグローバル責任者や電子取引の最高技術責任者を迎えるなど戦略的に人材を採用しました。2017年には電子執行取引の担当者を約100人(70人を超えるエンジニアを含む)増員しました。

プラットフォームについては、当社は2年前に高性能取引プラットフォームをPantor Engineering ABから取得しました。このプラットフォームは現在、欧州のお客様向けに展開されています。今日、スマート・ルーター能力が高く評価され、当社は欧州先進国市場において最も高速かつ広範なアクセスを提供できる企業の上位3社に入っています。

2017年末、当社はブルームバーグ・トレードブックに株式売買執行サービスを独占的に提供すると発表しました。この契約締結は、当社の電子執行能力が認められた結果であり、これによって1,300社を超える新規顧客と1億ドルを超す年間収益(ランレート)を獲得できる見通しです。

これらの投資などにより、クオンツ運用を行う投資家へのサービス提供のためのイニシアティブを進めています。この顧客層に対しては執行およびファイナンス両方のサービスを提供しており、重要かつ今後成長する余地のある業務であると考えています。上記のような取り組みを通じて電子取引執行市場におけるシェア拡大に努め、株式業務のお客様全体の利益に貢献したいと考えています。

投資運用業務

広範な資産クラスと商品、販売網に支えられ、投資運用業務は引き続き好調です。2017年には長期運用資産(MMFを除く)の純資金流入額が420億ドルを記録しました。過去5年間における長期運用資産の純資金流入額は約2,700億ドル(520億ドルは買収による増加分)に達しており、事業は安定的に成長しています。

ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントは、各企業が年金などの資産運用の外部委託を進める中で、引き続きトップクラスの受託会社となっています。現在、当社が運用責任者として意思決定を行うまたは助言する受託資産は1,100億ドルを超えています。2017年に行った戦略的買収により、長期運用資産が200億ドル増加し、事業規模はさらに拡大しました。

こうした外部委託の流れは保険業界でも見られます。当社は保険会社のお客様の1,900億ドルの資産運用・助言を行っており、当社の高度な分析、カスタム化された資産配分、リスク管理能力をお客様にご活用いただいています。

プライベート・ウェルス・マネジメントは、2017年に長期資金の純流入が170億ドルを記録し、2016年の120億ドルを上回りました。運用資産は急速に拡大しており、当社の商品提供力とブランド力によって、この分野は今後もますます成長していくと見ています。当社は現在、700人を超える富裕層向け資産運用アドバイザーを擁しており、2020年までに約30%増員する予定です。

アイコ(Ayco)は、米国で400社の企業と13,000人の企業幹部にファイナンシャル・プランニング・サービスを提供していますが、まだフォーチュン1000社の20%をカバーしているにすぎません。2017年末に、アイコの顧客企業の社員向けにデジタル・アドバイザリー・サービスを開始しました。このプラットフォームは70社を超える企業に導入されており、2018年末までにさらに30社の企業に展開する予定です。

投資および貸付業務

投資および貸付業務では、有望な企業や既存顧客に対し、融資またはエクイティ投資を通じて必要な成長資金を提供しています。当社の実行済みローン残高は2017年末時点で810億ドルに上り、2012年末時点から3.5倍に拡大しています。

プライベート・ウェルス・マネジメントでは、既存顧客への貸付を増やした結果、2017年の実行済みローン残高は前年比15%増の約240億ドルとなりました。プライベート・ウェルス・マネジメント顧客への貸付による純収益は、2016年と比べて約30%増加しました。

また当社は、GS セレクトを通じて登録投資顧問会社と提携し、ゴールドマン・サックス・バンクUSAからプライベート・ウェルス・マネジメント顧客に証券担保ローンを提供しています。このデジタル・プラットフォームはまだスタートしたばかりですが、米国の複数の大手独立系登録投資顧問会社(顧客資産の規模は約4兆ドル)がすでに参加しています。

法人向け貸付およびファイナンシング事業も当社の成長戦略の重要な一部であり、ファイナンスと投資の専門部隊であるスペシャル・シチュエーションズ・グループにとってビジネスチャンスとなっています。経験豊富な投資専門チームが、主に中堅企業のパートナーとして、その資産金融、資本構成改善、資金支援を行っています。この事業は、当社の中でも特に利益率とリターンが高い事業のひとつです。

ローンポートフォリオを拡大したことで、純収益に対する純金利収入の寄与度が向上したため、投資および貸付業務の純収益はより安定的で経常的なものとなっています。2018年の年間純金利収入(ランレート)は20億ドルを見込んでいますが、これは貸付の拡大を織り込んでいません。2017年第4四半期には純金利収入が前年同期比で約70%増加しています。

もうひとつの重要な投資事業は、企業の立ち上げから、その成長を支援するマーチャント・バンキング事業であり、高水準のリスク調整後リターンをもたらす魅力的な投資機会を生み出しています。同事業は当社のDNAとミッションの中核の一つであり、30年以上に渡り当社の強力なフランチャイズの一角を占めています。

2015年初め以降、エクイティ投資のポートフォリオからの純収益は約110億ドルに上りますが、マーチャント・バンキングの貢献度が最大となっています。

当社は、全世界にわたる独自のフランチャイズを活用して、顧客勘定と自己勘定の両方で引き続き積極的に投資機会を見出しています。例えば過去2年間で、マーチャント・バンキング事業の一環として、エクィテイおよびクレジットを通じて、400億ドル以上(コミットメント・ベース)を投資しました。

2017年11月には、中国投資有限公司と共同で産業協力ファンド(Cooperation Fund)の設立を発表しました。中国事業の拡大を実施または検討している米国の製造業、工業、一般消費財、ヘルスケア分野の企業を主な投資対象として、50億ドルを調達する予定です。

マーカス(Marcus)

マーカス(Marcus: by Goldman Sachs)は、消費者向けのオンライン金融サービス・プラットフォームです。この新事業は、透明性と柔軟性の高いシンプルな商品を提供することで、消費者が抱える悩みを解決できないかというところから生まれました。手数料不要のシンプルな個人向けローンから始まったマーカスは、今や充実した商品とサービスを展開しつつあり、今後当社の業績に大きく貢献すると確信しています。

消費者の関心は、従来型の実店舗からテクノロジーを活用してスムーズにニーズを満たしてくれるソリューション型へと移行しており、当社はこのタイミングでマーカスを立ち上げました。当社には既存の販売網、テクノロジー、事業など、消費者へのサービスの妨げとなる負の遺産がない一方で、当社の安定した財務基盤、高いリスク管理能力、テクノロジーを活用することができます。このことから、ゴールドマン・サックスは消費者金融の「破壊者」となることのできるユニークな立場にあります。

マーカス事業を開始してから2017年末までに実行した個人向けローンは23億ドルに上ります。ローンポートフォリオを拡大させつつ、クレジット・サイクルには細心の注意を払っています。当社の融資方針と融資条件は、安定したローンポートフォリオの構築を目指す設計になっており、貸付拡大のペースも慎重に管理しています。また預金事業を通じて資金源の拡大と多様化にも取り組んでいます。マーカスの預金残高は2017年に50億ドル以上増加し、同年末時点では171億ドルとなり、2016年4月にこの事業に参入して以来、2倍近くに増加しています。2017年末時点で、マーカスの顧客はローンと預金を合わせて35万人を超えており、潜在顧客の数は数百万人規模と考えています。

オンライン消費者金融分野での当社の実績はそれほど長くありませんが、市場のニーズは底堅く、さらなる投資の機会に注目しています。今後もローンや預金商品の販売を、直接またはパートナー経由で徐々に拡大していく予定です。

長期的に、消費者向けに提供する商品の種類をさらに拡大する機会があると考えていますが、当社が定める新商品の評価基準、つまり、市場規模が大きいこと、当社の専門知識を活用できること、高い株主リターンが得られること、特に消費者目線でのソリューションの提供、といった基準は今後も遵守していく方針です。

人材

長期的にみて、当社の競争力の源泉はやはり人材です。我々は常にその点を意識しており、お客様のニーズに対応し、当社の成長に貢献できる卓越した人材の採用、育成、昇進に重点的に投資しています。

だからこそ、フォーチュン誌の「最も働きがいのある会社ベスト100」に再度選ばれたことを光栄に思います。1984年にGreat Place to Work Instituteがこのランキングの発表を始めて以来、毎年その栄誉に浴してきたのは当社を含めてわずか4社にすぎません。また、ワーキング・マザー誌が選ぶ「ベスト100社」の一社にも選ばれています。これは、子育て中の社員を支援するプログラムを提供している企業のランキングであり、当社は15年連続でランク入りし、同誌の「殿堂」リストにも入りました。

2017年、当社は世界で6,000人を超える人材一人一人を選んで採用しました。応募者数は年々上昇しており、採用通知を受けた応募者の80%以上が実際に入社しました。採用においては、応募者層の拡大と多様化を目標としています。ビデオ面接の導入やオンライン・コーディング選手権の開催といったテクノロジーの活用により、2018年のインターンシップでは、面接を受けた応募者の出身校を昨年よりも150校以上増やしました。

さらに、当社のビジネスにおいてテクノロジーの重要性が増しているため、科学、テクノロジー、工学、数学(STEM)のバックグラウンドを持つ人材の採用には引き続き力を入れています。今日では、社員の約4分の1がエンジニア関連の様々な職務に従事しています。2017年に採用した新卒アナリストの3分の1以上がSTEM専攻で、この割合は、2018年採用者ではさらに上昇する見通しです。

2017年にマネージング・ディレクター(MD)に昇格したのは509人ですが、そのうち24%が女性です。地域別では約25%が欧州・中東・アフリカ、57%が米州、18%がアジアの出身です。さらに、66%がアナリストまたはアソシエイトとして入社した人材であり、これは当社が長期的な視点で人材の育成と維持に努めてきたことの表れと言えるでしょう。

後継者と幹部人材

会長兼CEOとしての私の最も重要な職責の1つは、取締役会と協力してリーダーの承継を円滑かつ効果的に行うことです。幸いにも当社にはあらゆるレベルで豊富な人材が揃っており、次の承継がいつ行われたとしても、十分な準備ができています。ハービー・シュワルツが社長兼共同COOを辞任すると発表したことを受けて、デービッド・ソロモンが単独で社長兼COOを務めることになります。引き続きデービッドと共に、グローバルなフランチャイズの構築と長期的な株主価値の向上に取り組んでまいります。

ハービーは20年のキャリアにおいて、証券部門や投資銀行部門からCFOに至る幅広い事業でリーダーシップを発揮し、直近では社長兼共同COOを務めました。また証券部門のグローバル共同責任者として、FICCおよび株式関連の顧客フランチャイズ拡大戦略の中心となってきました。金融危機の際、当社がお客様の膨大な取引ニーズに対応する中で、彼は当社のリスク量を管理するうえで非常に重要な貢献を行いました。CFOとしての在任中、大規模な規制環境の変更に対応するうえでも重要な役割を担ってくれました。ハービーは当社とその価値観のために意欲的に働き、彼の高い倫理観と複雑な状況への対応力、お客様重視の姿勢は、そのキャリアを通じて発揮されました。多くのリーダーに影響を与えたハービーは、ゴールドマン・サックスのあらゆる世代の社員たちに強いインパクトを残しました。ハービーの多大な貢献に感謝するとともに、今後の活躍を祈りたいと思います。

社会的インパクト

ゴールドマン・サックスは、世界中の環境・社会・経済面の重要課題の解決に取り組むことが私たちの責務だと考えています。そのために、中核事業を通じた取り組みのほか、専門知識を生かして経済発展を促進する活動にも関わっています。当社が目指すのは地域社会の中で長期的に活動する企業市民となることです。資本市場の「交差点」に位置する当社の使命は、お客様が事業を発展させ、より強固な財務基盤を構築し、社会が必要としている商品やサービスを提供し、ひいては経済成長に寄与することができるようお手伝いすることです。

こうした使命を果たすため、当社は「1万人の女性」(10,000 Women)プログラムや「1万社の中小企業」(10,000 Small Businesses)プログラムを通じた起業家支援も行っています。また、これまで十分な支援が受けられていないコミュニティーの生活水準を改善させるなど、様々なプロジェクトへの資金援助も行っています。我々が持つスキルとリーダーシップを発揮して意義ある貢献を果たすことが、当社の慈善活動の目標です。

1万社の中小企業サミット

中小企業支援の第二段階として、当社は2018年2月に「1万社の中小企業サミット」(10,000 Small Businesses Summit: The Big Power of Small Business)を開催しました。このサミットは米国の中小企業オーナーが集う過去最大規模のイベントとなりました。ワシントンD.C.で開かれたこのサミットには、様々な業種や地域の中小企業オーナー2,000人以上に加えて、企業経営者、業界専門家、政策立案者なども参加し、米国経済における中小企業の重要な役割が議論されました。

類を見ないこのイベントでは、人材採用や資金調達、バランスのとれた成長に関する戦略や戦術の情報交換から、規制やグローバル競争といった政策関連に至るまで、幅広い議論が交わされました。「1万社の中小企業」プログラムの修了者が一堂に会し、アイディアを共有し、共通の悩みについて話し合い、一つの意見にまとめあげる機会となったのです。翌日には、参加者がキャピトル・ヒルを訪れ、各地区・州の議員と面会し、中小企業の持続的な成長、発展、競争に向けた政策の必要性を訴えました。

ゴールドマン・サックス・ギブズ

ドナー・アドバイズド・ファンド(寄付者助言型ファンド)であるゴールドマン・サックス・ギブズを通じて、当社のパートナーは世界中の適格非営利団体に寄付を行っています。2010年の設立から2017年末までの間に、13億ドル以上を6,000の非営利団体に寄付しました。これらの団体は、革新的なアイディアの醸成、経済的・社会的問題の解決、支援の行き届いていない世界中のコミュニティーの発展というゴールドマン・サックス・ギブズのミッションを促進する活動を行っています。

良き企業市民として地域社会への貢献を表すため、ゴールドマン・サックス・ギブズは2017年にもさまざまなイニシアティブを通じてその活動範囲をさらに拡大しました。第2回アナリスト・インパクト・ファンドは、当社の若手社員たちがチームを編成し、コンテストに勝ったチームが、自分たちの選ぶ非営利団体にゴールドマン・サックス・ギブズから寄付するというものです。ゴールドマン・サックスの幅広い拠点や部門から若手社員が参加し、当社の価値観と企業文化の中心となるチームワーク、分析力、卓越性を存分に発揮しました。勝ち抜いた3つのチームがサポートした非営利団体は、女性難民へのオンライン教育リソースの提供、保釈制度改革への取り組み、およびインド農村部での女子教育支援を行う団体でした。

さらに、ハリケーン・ハービー、イルマ、マリアならびにメキシコの震災による被害に対して、当社とゴールドマン・サックス・ギブズは、緊急救援物資や短期的支援、長期的な住居支援や中小企業の再建・復興支援を提供する団体に対し、200万ドルを超える寄付を行いました。さらに人的支援としても、当社全体で1,000人を超えるボランティアが復興のための緊急支援や継続的な支援活動に参加しました。

アーバン・インベストメント・グループ

当社はアーバン・インベストメント・グループ(UIG)を通じて、支援の行き届いていない都市地域への投資機会を発掘しています。現地のリーダーや非営利団体と協力し、地域コミュニティと社会の発展に資する事業や中小企業への資金提供に取り組んでいます。投資戦略はここ数年で変化してきましたが、見過ごされてきた地域に、リターンを確保しながら、社会的インパクトを与えるという当社の使命に変わりはありません。

2001年の設立から2017年末までに、米国で十分に援助がされていない地域に対してUIGは60億ドル以上を支出し、2万5千戸以上の住居(その大部分は中低所得家庭向け)、200万平方フィートを超えるコミュニティ・スペース、750万平方フィート以上の商業、小売、産業施設の建設と保全を促進してきました。

その一例が、マンハッタンのローワーイーストサイドにあるエセックス・クロッシング(Essex Crossing)開発への5億ドル近い投資です。これは190万平方フィートの規模を持つニューヨーク市最大規模の開発プロジェクトであり、約50年にわたって利用されていなかった区画の再活性化を目指すものです。地域コミュニティーと共同設計したエセックス・クロッシングは、1,000戸強のアパート(低中所得の入居者用に半数以上を確保)と90万平方フィートの商業施設とコミュニティー施設に生まれ変わります。このようなプロジェクトは、インフラ、雇用、資源など、社会全体に利益をもたらす、新たな都市投資モデルの先駆けとなる可能性を秘めています。

将来に向けて

現在は経済成長にとってかなり好ましい状況にあり、今の成長サイクルの段階を考えると、金利も低めの水準にあります。しかし、リスクマネージャーである当社は、たとえ確率は低くても深刻な結果をもたらすようなシナリオからお客様と当社自身を守るために最善を尽くしています。米国経済が完全雇用に近づき、インフレ率が比較的低水準にとどまり、量的緩和政策が終了しつつある状況では、様々な過剰が蓄積される可能性は高まっています。そのため、悪い方向に進む可能性に留意し、特にクレジット・サイクルとの関係からリスクを注視していきます。

サイクルには常に始まりと終わりがあり、ここ数カ月の出来事が物語るように、市場は一瞬にして変化します。しかも多くの場合、その要因について確信を持って予測できる人は皆無に等しいのが現実です。

それでも我々は将来の成長には楽観的であり、自信も持っています。顧客フランチャイズは堅調であり、各事業への投資を通じて、顧客層の拡大とあらゆるビジネスでの利益成長を目指す成長イニシアティブを実行しています。

社員の努力、献身、協力は、これからも当社の長期的成功の基盤であり続けます。だからこそ、引き続き株主の皆様に高い相対リターンと価値を創出できると確信しています。

 

ロイド・C・ブランクファイン
会長兼CEO

 

 


[1] この費用を含めると、普通株主に帰属する純利益は37億ドル、希薄化後普通株式1株当たり利益は9.01ドル、ROEは4.9%でした。

[2] 2017年の米国の税法改正によって生じた一時的費用と、2015年のRMBS ワーキング・グループ(Residential Mortgage-Backed Securities Working Group of the U.S. Financial Fraud Enforcement Task Forceとの和解金を除外しています。

 

 

本文は英語の原文を翻訳したものです。本文と原文に相違がある場合には、英語の原文が優先します。