株式アナリストとは株式市場に上場している会社の業績を予想し、株式の「買い」「売り」などの投資判断とその分析を機関投資家に提供し、その投資活動をサポートする仕事です。上場している企業の業種は多岐にわたるため、各アナリスト毎に担当業種を設定し、その業界の動向や成長性、各社のポジショニング、競合関係など多角的な視点から分析を行います。分析の過程では未上場の競合企業に取材をし情報を得ることもあります。ゴールドマン・サックスでは各地域でアナリストが分析活動を行っているため、他国のアナリストとの意見交換や情報交換も重要です。分析結果や投資判断をレポートにまとめて、グローバルの機関投資家に向けて分析内容を発信しますが、実際にアジア、北米、欧州の機関投資家の元を訪れてプレゼンテーションやディスカッションを定期的に行っています。企業に対する自分の見解が他の証券会社のアナリストや株式市場の見方と違っているときには大きなプレッシャーを感じますが、自分の分析通りに企業の業績や株価が推移した時には達成感を覚えます。
アナリストの仕事は株価のパフォーマンスなど数字で結果が分かる点がシビアでありながらも、公正な評価を得られるところにやりがいを感じています。また私のレポートや提言について、担当企業から「役に立った、学びがあった」「今後の経営に活かしたい」などのフィードバックをいただくこともあり、自分の仕事が企業の事業活動のサポートにつながっていることにモチベーションを感じます。ゴールドマン・サックスに入社する前は他の外資系証券会社で現在と同様の株式アナリストの仕事をしていましたが、より幅広い業種を担当できることと、グローバルリサーチに力を入れている点に魅力を感じ、転職を決意しました。実際に入社してみると、海外オフィスで働いている同僚との物理的な距離を忘れるほど密に連携する文化に大変驚きました。それと同時に、1つの事象を各地域のアナリストが多面的な視点で捉えることによって分析に深みが出ることに改めて気づき、それがゴールドマン・サックス投資調査部門の強みにつながっていると感じています。
ゴールドマン・サックスはチームワークの意識が強い会社で、社員を自分の家族のように思いやる文化が根付いています。世界中に多くの部下を抱えるマネージャーでも、1人1人の部下の状況を把握し思いやる姿に驚き、私自分も何度も支えられました。私がチームワークを維持するために大切にしているのは、互いの個性を受け入れ、尊重することです。ゴールドマン・サックスでは多様なバックグラウンドや考え方を持っている社員が働いています。プライベートにおいても、子育てをしている、持病がある、親の介護をしているなど、それぞれ状況は異なります。それぞれが自分の強味を発揮し、最高のパフォーマンスを出して活躍するためには、立場を問わず互いをプロフェッショナルとして認めてリスペクトすることが重要です。そのためにはチームでの活発なコミュニケーションや意見交換が欠かせないと感じています。私のチームでも日々実践していますが、各々が抱えている仕事上の課題や、プライベートと仕事の両立における悩みなどを共有し合うことで、チームとしての補完関係も生まれやすくなるように思います。
育児と仕事の両立に悩んだ時にマネジメントから心強い言葉をたくさんもらいました。「両立しないといけないと思わなくても良い。時には仕事で諦めなくてはいけないこともあるかもしれないが、継続して仕事をしていれば必ず挽回するチャンスは来る」「自分のことを大切に」「アナリストである前に母親なのだから、家族の幸せを最優先に考える」。無理をしてでも周りの同僚のように活躍しなくてはいけないと焦っていた私にとって驚きのアドバイスばかりでした。ゴールドマン・サックスでは、育児をしながら仕事をしてきた経験をもつ多くの女性が管理職に就いており、私の気持ちに寄り添ったアドバイスに幾度となく助けられました。
プライベートでは家族、特に息子と過ごす時間を大切にしています。息子とのかけがえのない時間は仕事の上でも私の原動力になっています。アナリストの仕事は時に終わりのない作業ですが、平日の夜や週末は仕事モードからプライベートモードに切り替えて息子と思いっきり遊び、その分仕事時間は集中して業務に取り組むようにしています。またゴールドマン・サックスは、社員専用の託児施設などの子育てサポートが大変充実しています。私自身もベビーシッターサービスを社員割引制度を使って利用しています。息子が病気になった時にも、会社が提携している病児保育サービスのベビーシッターさんがすぐに駆け付けてケアしてくれるので心強いですし、家族のケアが必要な時に取得できる有給のファミリーケア休暇もあり、状況に応じて複数の選択肢から対応を選べるのは本当に有難いです。マタニティー・メンター制度もあり、子育てをしながらアナリストをしている先輩ママから両立のアドバイスをたくさん教えてもらっています。また、ゴールドマン・サックスはサステナビリティを非常に重視していることも特徴で、長期的に考えて今の働き方が継続できるのか、会社ができるサポートはあるかを常に考えてくれる文化があります。
将来取り組んでみたいことは沢山ありますが、会社を経営してみたいという気持ちはあります。アナリストの仕事を通じて経営分析に携わっているので、自分自身がいつか経営側にまわってみたいという漠然とした思いは持っています。また、学生のキャリア形成の一助となるような活動ができたらとも考えています。大学では経営戦略を専攻していましたが、当時学んだことは株式アナリストという仕事に直結して活かされていると感じています。大学のゼミでの活動が私のキャリアの根幹になっていることもあり、就職に悩んでいる学生のキャリアプラン構成の手助けをしてみたいです。