柳沢 正和

マネージング・ディレクター 証券部門, 東京
自分が所属する会社がインクルーシブな社会の実現に具体的な努力をしていることに誇りを持っています。

私は別の外資系証券会社から転職して、中途採用で2019年7月に入社しました。ゴールドマン・サックスのことは業界のトッププレイヤーで手ごわい競合相手として尊敬していました。入社前に、東京レインボープライドでLGBTQ+ネットワークのメンバーに会うことがありましたが、ゲイであることをオープンにしている者として、インクルーシブな社風を事前に知ることが出来たことも転職を決めた大きな理由の一つです。

私は現在プライム・サービス部長として、ヘッジファンドを中心としたお客様向けのサービスを提供するチームを統括しています。プライム・サービス部は日本だけで完結する業務が少なく、グローバルに緊密な連携で成り立っています。信用の供与や株式の貸付、口座残高の計算や信用リスクの管理などに関するサービスをはじめ、ヘッジファンドの開業支援を行ったり、成長のアシストをしながら、最適な運用方法の相談に乗るのがグローバルのプライム・サービス部の主な仕事の内容ですが、たとえば、お客様から日本でヘッジファンドを立ち上げたいというご相談を受けた時には、米国のチームと連携して潜在的な投資家を紹介したり、ファンド設立の際に必要な書類について香港の法務チームに確認をしたりするなど、部門や地域をまたいださまざまなチームワークが常に必要になってきます。ヘッジファンドは人員が少ない会社が多く、ニーズが多岐にわたっています。ゴールドマン・サックスが持つ豊富なリソースを効率よく活用して、そのニーズに応えるのが私たちのチームの最大のミッションです。日本はアジアの中でもヘッジファンドに投資する機関投資家が多く、欧米の大手ファンドは顧客開拓や業容拡大を続けています。コーポレートガバナンスの進展に伴って日本株への関心が高まる中、この仕事に大きなやりがいを感じますね。

自分の長所は楽観的な性格だと思っています。市場関連業務はスピードが速く、お客様からの要望も同時に重なったりしてとても刺激的である一方、慣れるまでは時間に追われている感覚になりやすい現場です。時間管理と作業に優先順位をつけることが勝負を分けます。私がこの業務をうまくこなすためにたどり着いた方法は、必要な慎重さを心掛けながら自分の長所を生かして明るく仕事にあたること。また、自分のコントロールの及ばないことは素早く諦め、気持ちにメリハリをつけることも大切にしています。プライベートでは昨年からフレンチブルドッグのペロちゃんを飼い始めました。あまりに可愛く、溺愛しています。週末は愛犬とビーチや公園に行って、思いっきりリフレッシュすることを心がけています。

私は2012年にゲイとしてカミングアウトをしました。それ以降は自分の性的指向を隠さず職場でもオープンリーゲイとして働いています。ゴールドマン・サックスはかなり前からLGBTQ+にとって働きやすい職場との定評がありましたが、入社初日に部門長の部屋に挨拶に行ったところ、「ALLY」と大きく書かれたレインボーのシールが貼られているのに気が付き、本当にそうなんだなと素直に嬉しかったです。LGBTQ+の支援者を示すALLYという言葉をはっきり表示するのは、当事者の社員が悩まずに自分らしく働ける雰囲気を作るための取り組みですが、ここまで大きく明示されていると正直びっくりしました。ここでいいスタートが切れると実感したのを覚えています。

プライベートでは日本の同性婚の法制化に向けて活動しています。2021年には、国が同性同士の結婚を認めないのは憲法違反であることが初めて認定されました。この判決を聞いた時には感動のあまり体が震えました。同性婚はLGBTQ+コミュニティーにとって公平な社会を実現するための大きな一歩です。ゴールドマン・サックスも日本における同性婚の実現に賛同を表明しています。自分が所属する会社が当事者コミュニティーと連携してよりインクルーシブな社会の実現に具体的な努力をしていることに誇りを持っています。東京が国際金融都市として海外から人や投資を呼び込もうとしていますが、LGBTQ+の平等などインクルーシブな都市でなければ海外の優秀な人材も企業も呼び込むことはできません。LGBTQ当事者として、また資産運用業に関わる者として、仕事とプライベートの両面から貢献できればと思っています。