ストラテジストのキャシー・松井が1999年にウーマノミクスのレポートを発表してから20年が経ちました。最新の「ウーマノミクス5.0」のレポートでは、これまでの進捗状況の検証のほか、改善が必要な分野に対する具体的な提言を行っています。男女の就業率格差解消によるGDPの押し上げ効果は最大で15%に達する可能性があると当社では試算しています。
1999年に当社がウーマノミクスに関する最初のリポート1を発行して以来、国内の女性の就業率が過去最高(71%)に達して欧米を上回り、育児休業制度の整備や、女性活躍の「見える化」、「同一労働同一賃金」を義務付ける労働市場改革が遂行されつつある。今後は女性リーダーの輩出、男女賃金格差、硬直的な労働契約、女性の就業継続を妨げる税制の歪み、家事・保育・介護人材の不足、無意識バイアスなどへの挑戦が必要だ。当社試算では、男女の就業率格差が解消すれば、日本のGDPは10%押し上げられ、さらに男女の労働時間格差がOECD平均になれば同効果は15%にも達する可能性がある。
政府・企業・社会への提言
政府には、より柔軟な労働契約形態の創設、男女の賃金格差開示の義務化、税制改革、議員クオータ制の導入、女性の起業促進、入管規制の緩和などの政策を提言したい。企業は、女性のキャリアマネジメント強化、より柔軟な勤務環境の実現、成果主義型の評価制度への移行、ジェンダーダイバーシティの目標設定、男性リーダーを巻き込んだダイバーシティ推進などを検討すべきである。社会には、ウーマノミクスに関する誤った通説の打破、メディアの描くステレオタイプな男女の役割像の是正、STEM分野への女性進出の奨励を期待したい。ESG投資の成長と日本のミレニアル世代の男性の意識の変化は今後のダイバーシティのへ取り組みに追い風になろう。
*このレポートは2019年4月16日付「ウーマノミクス5.0:20年目の検証と提言」の短縮版です。
*ウーマノミクスとは「ウーマン」(女性)と「エコノミクス」(経済)の二つの単語を組み合わせた造語で、人口の半分を占める女性の活躍推進によって経済を活性化するという概念です。
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